2022/06/29 - 13:34

Came To Be Journal

a pursuit to make sense of the world

食べること・生きること

東京での会社員生活を終え、6月から7年ぶりに北海道の実家に住んでいる。父・祖母・私の三人暮らしだ。「北海道だから」と言ってしまえばそれまでかもしれないけど、夕飯のジンギスカン率がとても高い。わざわざホットプレートを出してきて、無駄に時間をかけて玉ねぎが焼けるのを待つ。フライパンでやれば瞬殺だし、「もう肉食えるかな?」と悩む必要もないのだけど…。

ホットプレートでチマチマ焼くという調理方法を私は好きになれそうにない。食事は「とらなければいけないもの」であり、さっさと終わらせて何か別の方法で時間を潰したいと思うわけだ。そんな私に祖母は言う。「それが1日の楽しみでしょう」「働いた後そうして食べるご飯が美味しいんでしょう」と。確かにそうかもしれない(まあ私は今働いていないんだけど)。

父は建築関係の仕事をしている。朝早く出て行って、重機を操縦したり肉体労働をして帰ってくる。最近はどんどん暑くなってきたから大変そうだ。汚れて帰ってきてビールに直行し、うなり声を出しながら肉を食らっているのを見ると確かにウマそうに見える。私や祖母が退散したあとも、テレビを見ながら飲食を続け、それが終わるとさっと寝てしまう。翌朝5時に起き、同じサイクルが続いていく。働いた後食べる夜ご飯が1日の楽しみ。実感に溢れた言葉。

私の人生のキーワードが「効率」になっていたことは以前書いた通りである。時間がないと感じるのは、死ぬまでに成し遂げたいなという本質的に長期的な目標に、最短経路で挑もうとしているからだと思う。でもそんなの無理なのだ。現時点の私は正しいルートを見極める視野すら持たず、しかもその道には数えきれない不確定要素が溢れているのだから。

26歳になって数IA~数IIICの白チャートをやり直している(今日は久しぶりにΣを書いた)。高校時代にマスター出来ていればよかったし、大学でもそのチャンスはあったはずだ。でも私は「時間がない」とその道を避けてきた。私の目標を考えれば本来避けられるはずがないのに、小手先の脇道を通って誤魔化してきたのである。誤魔化さないこと・着実に積み上げること、それは目先の効率とは共存しないのだろう。

そうやって考え方を変えてみると、少しずつ無駄な焦りを感じなくなってきた。どうせ5~10年単位を覚悟する必要があるんだと思うと、今日1時間くらい肉をダラダラ焼いてみてもいい気になる。とりとめのない話も気にならない。それはきっとoffにしっかり休めているということで、結果的にonの時の集中力も上がるんじゃないかなと思う。「そんな当たり前なこと」と言われるかもしれない。でも凄く久しぶりの感覚なのだ。忙しいとか、時間がないという感覚からの解放。

食べることは生きることだ。そもそも食にそんなに興味を持たない私にとって、夕食が文字通り一日の楽しみになることはないだろう。けれど、その場にゆっくり流れる時間、それは大切にしていこうと思った。


おまけ:

ポッドキャスト『働くことの人類学 第一話・後編』によると、パプアニューギニアのトーライ人々にとっての仕事とプライベートの関係性は、日本人の常識と真逆であるらしい。つまり家や村で子供の世話をしたり冠婚葬祭の儀式に参加することが生きていく中でより重要なことで、仕事はただの「お小遣い稼ぎ」なのである。「仕事があるので親族の結婚式に出られない」なんてトーライの人が言ったら「ぶん殴られる」らしい。身内の不幸で長めの有給を取ることにすらちょっと引け目を感じる日本社会とは全然違うなと思う。あらためて、文化とは訓練を通して身に着けるものなんだなと思った。私の当たり前が当たり前じゃない世界なんてたくさんあって、それが面白いのだ。

おまけ②:

最近、DogenさんというYouTuberにハマっている。「建前vs.本音」という動画で旅行明けの会社員と、彼の不在をカバーした同僚の会話が描かれているのだけど、仕事がプライベートより重要だという我々の常識が垣間見えてとても面白かった。日本語がどう英語に訳されているのかにも注目してみるとさらに笑える。もらったお土産への本音「おれこういうの食わんし」が”My dog will love these”になっているなど。

※サムネイル(アイキャッチ画像): ツキサップジンギスカンクラブの生マトン肉のジンギスカン
ソース: Wikimedia Commons

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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